類似する皮膚の色素変化
CONSULTATION肝斑
俗にしみといわれるものの多くが肝斑で、顔面両頬部、前額部、口囲などに見られます。
対称性に境界明確な淡褐色~褐色の色素斑で、表面は平坦であり、発赤、瘙痒などの炎症症状及び自覚症状はありません。
思春期より更年期までの女性に多く、ときには男性にも見られます。
原因
女性ホルモンを主とした副腎皮質ホルモンを含む、内分泌機能の異常が原因の第一に考えられます。
また臨床経験から、慢性胆嚢疾患患者に肝斑が良く認められることから、消化器系機能障害が誘因になることもあるように思われます。
その他、紫外線に長時間照射されると肝斑が新たに発生し、既存のものは増強します。また、全身疲労やストレスなどが肝斑の原因を招くとも考えられています。
治療
低濃度のステロイド(ラクサンヒドロコルチゾン剤)含有の保湿性基剤のクリームを常用します。また刺激がない場合には、3~5%ハイドロキノンをステロイド剤に添加し、化粧時にのみ塗布します。
また、ビタミンCクリームも有効で、香料の強い化粧品や収斂化粧品など、刺激感のある基礎化粧品、メイクアップ用品の使用を中止し、外出時にはサンスクリーン剤、サンブロック剤を全般に使用し、その上に無香料、無刺激なファンデーション、パウダー、あるいはパウダーファンデーションでカバーし、紫外線を反射させることで色素の増加を防ぐことができます。
CONSULTATION雀卵斑
俗称そばかすと呼ばれるもので、学童期頃より顔面に多く、針頭大~釘頭大の不規則な形態の淡褐色~黒褐色の小色素班が対側性に現れます。
夏期に日光照射で増悪し、冬期には消退します。
その他、手背、腕、肩、背などの露出部に見られることもあり、思春期に顕著となることが多いです。
原因
優性遺伝であり、白人種に多く、従って黄色人種でも色白の皮膚に多発します。
治療
日光照射を避け、紫外線斜断剤、サンスクリーンクリーム(10~15%パラアミノ安息香酸含有クリームなど)を用い、遮光力のあるファンデーション(カバーマークなど)を使って紫外線を防御します。
外用剤としては、特別効果的なものはありませんが、ビタミンCクリームで色を軽減することは可能です。
通常、三塩化醋酸塗布による焼灼を行うと、7~10日間に色素の部分は痂皮となって一緒に剥離します。
また、5%ハイドロキノン含有クリームの外用を試みても良いですが、刺激がない場合のみ継続使用します。
全身療法としては、ビタミンC(レアスコルビン酸)の内服、静注、皮下注が有効な場合がありますが、紫外線を防ぐ手段を徹底することも重要です。
CONSULTATION黒子
色素性母斑の一型であり俗にほくろと呼ばれます。黒褐色の直径1~2mmの扁平な単純黒子、円形や弧状、半球状に隆起したもの、扁平に隆起したもの、ときに有茎性のものもあります。
丘疹状に隆起したものには有毛性のものもあり、出生時には見られませんが小児期から現れ、次第に増加し、また増大することがあります。
好発部位は、顔面、前腕、体幹に多く、掌蹠、口腔内にできることもあります。
原因
ほくろは、生まれつきあるものと、遺伝子による先天性のもの、後天性のものがあります。
後天性のほくろは、メラニン色素(メラノサイト)が紫外線の刺激を受けて、メラニンが作られ、その結果できたもので、紫外線を受ける量が多いほどメラニンが大量に作られ、ほくろができる可能性が高くなります。
体には、紫外線から肌を保護するために、メラニン色素を作り出す機能があります、これがいわゆる日焼けになります。
しかし、メラニンを作る時に、メラノサイトが活性化しすぎたり、細胞が破壊されたり、何らかの刺激を受けて異変を起こする場合があります。
そのため、メラニンがどんどん増え続け、ほくろになってしまいます。
その他に、化学薬品、ストレス、けが、ホルモン分泌などによってできることもあります。
また皮膚が頻繁に擦れたり、圧迫されたりしても細胞が傷つき、メラニン形成細胞が誤作動を起こし、ほくろができることもあります。
ほとんどのほくろは、良性の物になりますが、稀に悪性に変化するもの、元々悪性の場合もあります。
特に、足の裏、手のひらなどのほくろは、悪性化(悪性黒色腫)になる可能性が高いため、医師の診察を早めに受けることをお勧めします。
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